人間関係がうまくいかないと、自分を責めてしまうとき
人間関係がうまくいかないとき、最後に「自分が悪いのかな」と考えてしまう。そして、考えれば考えるほど苦しくなる。そんな状態が続いている方に向けて、この記事を書きました。
先に結論をお伝えします。人間関係がうまくいかないのは、あなたのせいでも、相手のせいでもありません。自分を責める気持ちは、反省ではなく、ある受け取り方から始まる一つのループです。ループの形が見えると、責める対象を探す必要がなくなります。
少人数の職場で起きていたこと
認識デザインラボに寄せられた、実際の相談を紹介します。
その方は、少人数の職場で働いていました。最初は同僚と世間話もしていたのに、日に日に話すことが減り、だんだんコミュニケーションが取れなくなっていきました。近くにいるのに、用件をメモで伝えられることもある。仕事の相談もしなくなっていきました。
その方が話してくれた気持ちを、要約するとこうなります。
職場の空気が重く、息がつまりそうだった。本当は仲良くしたいし、仕事を楽しくしたい。ふつうに言葉を交わしたいのに、それができない。
そして心の中では、「自分は何をしているんだろう」「自分が悪いのかな」という問いが繰り返されていました。同時に、「自分はこんなに努力しているのに、なぜ相手は無関心なんだろう」とも感じていました。
自分を責めることと、相手を責めることは、同じループの中にある
この相談には、「自分が悪いのかな」と「なぜ相手は無関心なんだろう」という、向きが反対の2つの気持ちが同時に出てきます。
一見すると正反対ですが、どちらも誰が悪いのかを決めようとしている点で同じです。責める先が自分に向くか、相手に向くかの違いしかありません。どちらに決めても苦しさは消えず、二つの間を行ったり来たりすることになります。
この方の場合、そのループは次のように回っていました。
- 出来事:相手からの返事が少ない。用件をメモで伝えられる
- 受け取り方:「自分は必要とされていない」「ここに居場所がない」
- 気持ち:「可哀そうな私」と感じて、悲しくなり、息苦しくなる
- 行動:「私は何をやっているんだろう」と思い、ますます話しかけなくなる
- 次の出来事:会話がさらに減る。そして1に戻る

話しかけなくなれば、会話はさらに減ります。会話が減れば、「やはり必要とされていない」という受け取り方が強まります。ループは回るたびに、自分の受け取り方が正しかったという証拠を集めていきます。
ループの入り口は、出来事ではなく「受け取り方」
このループの中で、自分で選び直せる場所は一つしかありません。2の「受け取り方」です。
「用件をメモで伝えられた」という出来事そのものには、「必要とされていない」という意味は書かれていません。その意味は、出来事を受け取った側が付け足したものです。
人には、目の前のことを一部分だけ切り取って見るクセや、「この人は無関心な人だ」と枠に収めて見るクセがあります。これは性格の問題ではなく、誰にでもある脳のクセです。そして相手もまた、同じクセを通して、まったく別の画面を見ています。メモで伝える理由が相手の画面にどう映っているのかは、まだ誰にも確かめられていません。
この仕組みは「環境や人を変えても、同じ人間関係を繰り返すのはなぜか」でくわしく解説しています。
このクセは、錯視の図を使うと自分の目で確かめられます(「見ている世界は絶対ではない」)。
自分を責めそうになったときの書き出し方
責める気持ちが出てきたら、頭の中で考え続ける前に、次の4つを紙に分けて書いてみてください。
1. 起きた出来事
誰が見ても同じように書ける事実だけを書きます。「今日は朝の挨拶のあと、会話がなかった」「用件をメモで伝えられた」。
2. 自分に向けた言葉
「自分が悪いのかな」「何をやっているんだろう」など、自分を責める言葉を書きます。
3. 相手に向けた言葉
「なぜ無関心なんだろう」「自分はこんなに努力しているのに」など、相手を責める言葉も、遠慮せずに書きます。
4. 本当はどうしたいか
最後に、本当はどうなってほしいのかを書きます。この相談の方であれば、「仲良くしたい」「仕事を楽しくしたい」「ふつうに言葉を交わしたい」でした。
並べてみると、2と3は向きが違うだけで、どちらも1に付け足された受け取り方だと分かります。そして4には、責める言葉の奥にあった、本当の願いが書かれています。苦しかったのは、自分が悪かったからではありません。願いがあるのに、それが叶わない理由を、誰かのせいにして説明しようとしていたからです。
責める対象がなくなると、次の一歩が見える
誰のせいでもないと分かると、「どちらが悪いのか」を考えるために使っていた力が空きます。その力で、「では、どうしたいのか」を考えられるようになります。
認識デザインラボでは、観点の問題は理解することで、問題が問題ではない状態になると考えています。自分の受け取り方の形が見えたとき、目の前の相手は「無関心な人」ではなく、まだ出会えていない一人の人として見え始めます。
まとめ
- 自分を責める気持ちと相手を責める気持ちは、同じループの中にある
- ループは「出来事 → 受け取り方 → 気持ち → 行動 → 次の出来事」の順に回る
- 自分で選び直せるのは「受け取り方」だけ。出来事そのものに意味は書かれていない
- 出来事、自分への言葉、相手への言葉、本当はどうしたいかの4つを分けて書くと、責める対象がなくても考えられるようになる
職場で上司との関係が繰り返しうまくいかない方は、「上司が変わっても、毎回合わないのはなぜか」もあわせてお読みください。
自分の言葉でパターンを整理すると何が起きるのかは、「自分の言葉で過去を整理すると、なぜ納得できるのか」で紹介しています。
自分がどんな受け取り方のループの中にいるのかを一緒に確かめたい方は、初回無料相談(90分)をご利用ください。
※認識デザインラボのセッションは、医療や心理療法ではありません。眠れない、食欲がない、気分の落ち込みが続くといった状態がある場合は、医療機関にご相談ください。