上司が変わっても、毎回合わないのはなぜか
異動して上司が変わった。転職して職場も変わった。それなのに、また上司とうまくいかない。「自分は上司運が悪いのだろうか」と感じている方は少なくありません。
先に結論をお伝えします。上司が変わっても毎回合わないとき、多くの場合、問題は上司運ではありません。目の前の上司に、過去の「誰か」を重ねて見ていることが原因です。
この記事では、上司との関係に絞って、なぜ同じことが繰り返されるのかと、上司を上司として観るための3つのステップを紹介します。
上司が変わっても合わない人に、よくあること
まず、次のようなことに心当たりがないか確かめてみてください。
- 話しかける前に、上司の顔色をうかがってしまう
- 新しい上司の何気ない一言で、「この人も前の上司と同じだ」と感じる
- 上司に意見や相談をしようとすると、萎縮して言葉が出なくなる
- 逆に、上司の言うことに反射的に反発したくなる
- 特定の年代や、特定の雰囲気の人に、はっきりした苦手意識がある
どれか一つでも当てはまるなら、上司が誰であっても同じ反応が起きている可能性があります。変わっているのは上司で、変わっていないのは自分の反応です。
上司に「誰か」を重ねて見ている

認識デザインラボに寄せられた、実際の相談を紹介します。
前の職場には、理不尽に決めつけてくる上司がいました。耐えきれずに転職したものの、新しい職場でも、また同じような上司との関係に悩まされるようになった、という相談です。
新しい上司は、もちろん前の上司とは別の人です。それでも、少し強い口調で指摘されただけで、前の上司から受けた決めつけと同じものとして受け取ってしまう。そうなると、新しい上司との関係も、前と同じ形に近づいていきます。
私の場合は、上司に父親を重ねていた
これは、認識デザインラボのコンサルタントである私自身にも起きていたことです。
新卒で入った会社で、私は年上の上司に、思ったことや感じたことを伝えられませんでした。仕事の相談が必要な場面でも、顔色をうかがって萎縮してしまう。数年後に部署が変わっても、今度は部長に対して、同じ話しにくさを引きずっていました。
あとで気づいたのは、私が上司に、寡黙で何を考えているか分からなかった父親の姿を重ねていたことです。「わがままを言えば怒られる」という父親とのやりとりの中でできた見方で、まったく別の人である上司を見ていました。
なぜ「上司」に重ねやすいのか
上司は、自分を評価し、指示を出す立場の人です。子どものころの親や先生と、立場の形がよく似ています。そのため、目上の人との関係で過去にできあがった見方が、上司に対して特に働きやすくなります。
人には、いま目の前のことを過去の経験と繋げて見るクセがあります。そして、いったん「この人はこういう人だ」と枠に収めると、その枠に合う情報ばかりが目に入るようになります。これは性格の問題ではなく、誰にでもある脳のクセです。くわしくは「環境や人を変えても、同じ人間関係を繰り返すのはなぜか」で解説しています。
上司を「上司として」観るための3つのステップ
重ねて見ていることに気づくには、目の前の上司と、重ねている誰かを分けることが必要です。次の3つを、紙に書き出してみてください。
ステップ1:上司が実際に言ったこと・したことだけを書く
最近、上司との間で引っかかった場面を一つ選び、上司が実際に言ったこと、したことだけを書きます。たとえば「会議で、資料の数字が違うと言われた」のように、その場にいた誰が見ても同じように書ける事実だけにします。
ステップ2:その事実に、自分が付け足した意味を書く
次に、その事実を受けて自分がどう受け取ったかを書きます。「また決めつけられた」「この人は自分を信用していない」「何を言っても無駄だ」。ステップ1と並べると、事実と、自分が付け足した意味が別のものだと分かります。
ステップ3:その意味は、誰との関係でできたものかを書く
最後に、ステップ2の受け取り方を、以前にも誰かに対してしたことがないかを振り返ります。前の職場の上司、学生時代の先生、親。思い当たる人がいたら、こう書いてみてください。
いまの上司は、〇〇(重ねていた人)ではない。
当たり前のように見えるこの一文が、重ねて見ていた像と、目の前の上司を分ける区切りになります。私の場合は、上司は父親ではない、と分かったことで、初めて上司を上司として観ることができました。
無理に合わせることが目的ではない
ここで目指しているのは、上司を好きになることでも、我慢して合わせることでもありません。
上司の言動そのものに問題があることもあります。ハラスメントにあたるような状況であれば、社内外の相談窓口に相談してください。そのうえで、自分が誰を重ねて見ていたのかを理解しておくと、同じ苦しさを次の上司や次の職場まで持ち運ばずにすみます。
認識デザインラボでは、こうした観点の問題は、理解することで問題が問題ではない状態になると考えています。重ねていた像の外に出て、目の前の上司と初めて出会い直す。そこから、新しい関係が始まります。
まとめ
- 上司が変わっても合わないのは、上司運ではなく、上司に過去の誰かを重ねて見ていることが多い
- 上司は親や先生と立場の形が似ているため、過去の見方が特に働きやすい
- 事実、自分が付け足した意味、その意味の出どころの3つを書き出すと、重ねていた像と目の前の上司を分けられる
- 目的は無理に合わせることではなく、理解して同じ苦しさを持ち運ばないこと
なぜ環境や人を変えても同じことが起きるのか、その仕組みをくわしく知りたい方は「環境や人を変えても、同じ人間関係を繰り返すのはなぜか」をお読みください。
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※認識デザインラボのセッションは、医療や心理療法ではありません。心身の不調が続いている場合は、医療機関にご相談ください。